2009年01月11日

2008年に観た映画

遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
過ぎたことなど、もうさっぱりと忘れてしまったこともありますが、とりえあえず昨年の映画鑑賞状況についても振り返ってみたいと思います。

2008年の最初に観た映画は 『仁義なき戦い』 で、最後に観たのは大晦日でクレージーキャッツの 『無責任清水港』 でした。総鑑賞作品数は130本ポッキリ。その内、映画館でが52本。旧作がほとんどで、新作は試写会で観た 『インクレディブル・ハルク』 だけでした。そろそろ、趣味に映画鑑賞とか言っちゃうのがおこがましく感じられるな・・・。

印象に残った作品は、再見だけど 『スタフ王の野蛮な狩り』 @新文芸坐 。高校生の時にテレビで観て以来だったので、その間に「傑作」だと信じ込みすぎてたかも・・・と再鑑賞前には思ってたのですが、改めて傑作だと実感しました。序盤のいかにも怪しい土地と村人達の図は金田一っぽいねとか、真犯人とその末路にソビエト時代を感じる、とか新たな発見も有り。ソフト化しないのかなー、と調べてみたらロシア盤DVDが出てました。これは買わねば。



あと昨年の映画にまつわる思い出で、神保町シアターの木下恵介特集で 『喜びも悲しみも幾歳月』 を初見。上映中の2時間半以上に渡って場内がすすり泣きで溢れてたのが印象深かったです。題名通りに喜ばしいのと悲しいのとの泣き所がさざ波のようにやって来て止まらない仕組なんですよね。登場人物も泣いてばっかりだし。終映後に場内にいた20人ほどの観客を見たら、年齢層がそんなに高くなかったのも意外。半世紀を経ても観客の涙腺を脆くさせるこの映画の怪物っぽさを感じました。

気になった俳優は、前にも何べんも書いてしまったし往時の山本圭・・・になるのか。前年までに挙げた俳優さんは、どちらかというと並外れた濃さや渋さがツボ基準になってたけども、可愛さや若気のなんたらに注目してしまうようになったのは、やはり自分の年もそれなりになってきたのかなどと考えてしまいます。
posted by かまた at 05:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | 更新情報をチェックする

2008年09月29日

世界の映画作家(71) セルゲイ・エイゼンシュテイン@新文芸坐

昨日新文芸坐のオールナイトに行ってきました。
今回は、セルゲイ・エイゼンシュテインの4本立て。エイゼンシュテインは 『戦艦ポチョムキン』 以外は未見だったので、この際まとめて観てみようと思ったわけです。『メキシコ万歳』 以外は1920年代のサイレント映画ですが、『ポチョムキン』の印象では映像はうるさい(というか動的)ので寝ない自信はありました(ロシアつながりだと、少し先にアレクサンドル・ソクーロフのオールナイトがありますが、こちらは爆睡する自信があるのでまず行かない)。お客さんは、7割ほど入ってたでしょうか。映画を勉強してる学生風な若者が多かったです。

『戦艦ポチョムキン』は、観るのは5回目位ですがスクリーンでは初めて。上映45分すぎあたりで、立て続けに3回ほどフィルムが切れてしまったのが惜しかったです。とくに3回目は、オデッサの階段でいよいよ大虐殺が始まる直前の「すると突然!」の字幕のところで切れちゃって残念。

『ストライキ』は、ストライキを起こす労働者と資本家側双方の闘い。監督の長編第一作らしいですが、早回し、逆回し、ワイプ、クロスフェードとか色んな技術がテンコ盛り。凝った構図や編集もこの作品で既に見ることが出来ました。一方で、次の 『ポチョムキン』 と比べると大分ユーモアのあるノリだったのが意外。資本家とそのスパイの演技が大仰だったり、それぞれ愉快なあだ名が付けられてたりして愛嬌があって、敵側なのに妙に憎めないんですよ(これと同じ理由で 『忠臣蔵』 でも最後の方になると、そんな大人数でおもしろおじいちゃんを苛めんなや・・・と毎度思う)。ただし、ラストは原っぱで粛清される労働者と、喉を裂かれ屠殺される牛。野原一面に死体が転がる風景のあとに、こちらをにらみ付ける両目のアップが映り 「忘れるな!」の字幕で終了、と強烈。

『十月』は、ロシア革命の顛末。人物の固有名詞がたくさん出てきたり、起こる出来事も多いのでこの辺の歴史に疎いと若干付いていくのがしんどいです。ワンショットの短さやイメージショットの多さは、ますます拍車がかかっており、圧迫感を保ったまま怒涛の勢いで進行する作品でした。木彫り人形やおたふくとか東アジアの工芸品が延々と映るのにはさすがに当惑でしたが。ポチョムキンからの3作は、どれもモブシーンが凄まじかったです。あと、ショスタコーヴィチの音楽は映像ともども高エネルギーで、良くも悪くもやかましいという感想。

『メキシコ万歳』は、エイゼンシュテインが1930年にメキシコで撮影したのちニューヨークに保管されていたフィルムを、当時助監督のグリゴリー・アレクサンドロフが編集して1979年に発表したもので、メキシコの風景と習慣と歴史を現地の住民を起用して描いたドキュメンタリー調の作品。冒頭と終盤にアレクサンドロフ本人が登場し、当時の状況を説明する場面があり。国を変えても独特の画面構成は不変で、エイゼンシュテインがもっと色んな土地の色んな題材を撮ることが出来てたらなあとしみじみ。闘牛の場面での、牛目線カメラはちょっとチープでウケました。

新文芸坐では、いつも休憩時間に上映作品に関係した曲が館内に流れているのですが、今回はなんとペット・ショップ・ボーイズの二人がTennant/Lowe名義で2005年にEMI Classicsから発表した 『戦艦ポチョムキン』 のスコアが使われてました。PSBファンの当方は、曲が聞こえてきた瞬間に内心ウォーッと大反応。ありがとう、新文芸坐。

Tennant/Lowe / Battleship Potemkin

このアルバムはPSBとしてはオリジナルアルバムとしてカウントしている大変な力作。そもそも何故に彼らがこの映画に音楽を付けたかというと、ロンドンのICA( Institute of Contemporary Arts)からの依頼だったらしいです。それに加えてボーカルのニール・テナントさんがロシアの歴史や文化に大変造詣の深い方であること。そして、ゲイであった先達アーティストへのオマージュに事欠かさない彼らですので、エイゼンシュテインにも同様の思いがあったのでは、という理由も考えられます。発表当時は、イギリスとドイツで実演上映会をやってたみたいですが、いまこのスコアでこの映画を見ようとすると、DVDと一緒にCDを流すしかないとか?

posted by かまた at 02:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | 更新情報をチェックする

2008年08月28日

松竹の女優たち@神保町シアター

春の木下惠介特集を最後に、自分好みの特集が続いているのにケチって行っていない神保町シアター。次の特集は前の大映に続いて「松竹の女優たち」だそうです。個人的に今年は観ている映画は松竹の比率が一番高いので、さらにそれを高めるには良さそう。しかし、なんと言っても見逃せないのは『霧子の運命』。あの、吉田輝雄が出ています!あと、おなじみですが『秋刀魚の味』ではトンカツおかわりしてます。『霧子〜』は未ソフト化なので、これだけは何としてでも行かねば。あとは、戦後篇1〜3の未ソフト化作品はどうにかお金を工面して観に行きたいなあ。
posted by かまた at 15:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | 更新情報をチェックする

2008年07月17日

『再会の街で』の音楽

経済的・時間的な理由で、実に二ヶ月以上に渡って映画館に足を運んでいない状態です。その間に、なんとかビデオなどで観た映画はというと 『他人の顔』 『once ダブリンの街角で』 『チャックとラリー おかしな偽装結婚!?』 『死闘の伝説』 と、『仮面ライダー』 の数エピソードくらい(←映画じゃない)。『チャック〜』は、姉がアダム・サンドラーのファンなのでDVDスルーされてたものを新作で借りて見ました(笑)。

そして、もう一つアダム・サンドラー好きの姉がレンタルしてきたのが『再会の街で』(2007年/マーク・バインダー監督)でした。これは、本国での公開前からネットでスチールをチェックしていて、アダム・サンドラーのルックス(というか髪型)のあまりのボブ・ディランぽさに驚いていた作品でした。姉がこのDVDを観ている間、私は作業中だったのでチラチラとしか画面を見れず、後でちゃんと観ようと思っていたのも束の間さっさと返却されていました。また借り直すのも癪だなあというところですが、チラ見だけでも気になったところが結構あった映画でした。
なんと言っても音楽の選曲が70年代ロック中心で、当方の趣味どまんなか。特に、オープニングのアダム・サンドラーがニューヨークの通りを昼夜スクーターで走りぬける映像に流れるのがグレアム・ナッシュの"Simple Man"。おおピッタリすぎる!この曲が入っているナッシュのソロデビュー作「Songs for Beginners」は今まで自分が聴いたアルバムのなかでトップ20には入る超お気に入り盤ということもあり、こんな素敵な使われ方をされていてとても嬉しかったです。あと劇中の、レコード屋のシーンで、サンドラーがふと手に取り「ジャケットを見てよ、傑作を作ってやったって顔してるよ」と言われてるのがこのLPでした。YouTubeで探してみたら、ちょうどOPのみの動画がありました。早速リピートして見てしまいましたよ・・・。

 13秒目辺りから曲が始まります。

ちなみに、その「傑作を作ってやった顔」ってのはこのジャケット。

Graham Nash / Songs for Beginners (1971)

サンドラーの役は、911テロで妻子を亡くして現実を受け入れられず世の中から孤立しているという設定。彼がいじるiPodの画面にはジャクソン・ブラウンのアルバム画像(最近のライブ盤)が表示されていて、こういう人なら本当に聴いてそうだな・・・と説得力ありすぎでした。あと映画の原題 『Reign Over Me』 もザ・フーの曲名からいただいていて、映画のテーマソングでもあったようです。劇中で「四重人格」のLPが映るシーンもありました(ザ・フーといえば、こんど初単独来日公演があるんすね!彼らは高校のときに初期のベストを聴いてそのまま聴き進める訳でもなく、何故かピート・タウンゼントのソロ作LPを一枚持ってるだけなのですが、そのロックレジェンドさは重々承知しているので来日を横目で気にしてます)。
あと、姉の影響でアダム・サンドラーの出演作はだいぶ見ているのですが、彼にとってこの映画はかなりの新境地だったんじゃないでしょうか。脚本のせいもあるかと思いますが、喋り方や動作など精神的に危うそうな人を機用に演じていて、あーそうなるとこういう態度になるんだよなあとか、自分がリアルで見知っている人達を彷彿させるところがあって結構現実味がありました。キャストもなかなか豪華で、ドナルド・サザーランドはどこで出てくるのかと思ったら、後半に特別出演という感じでした。話の方は、どう決着がついたか知らないままだし、また借りてみた方がよさそうかなあ・・・。
posted by かまた at 00:58 | Comment(0) | TrackBack(1) | 映画 | 更新情報をチェックする

2008年06月14日

続・映画館ネタ&続・『美しさと哀しみと』

また新しい上映情報が入ってきたので追加です。

ラピュタ阿佐ヶ谷で、7月から特集「京都ものがたり」が始まる模様。今年の夏には「そうだ 京都、行こう」かなと、ぼんやり考えていた私にはタイムリーな特集です。ラインナップを見てみると先ず、『893愚連隊』が天知さんの出演作。この映画、お話的にも雰囲気的にも天知さんが浮いちゃってるから、ファンとしては観ていて若干心が痛むのよね。そして『古都』『異常性愛記録 ハレンチ』の二本には、吉田輝雄が出演。『古都』は初見時にはテリー云々以前に、映像と音楽と岩下志麻に(いい意味で)気が遠のいた覚えが。『ハレンチ』は、ヒロインの橘ますみと天国と地獄を行ったり来たり・・・鑑賞が心身ともにハードな映画ですが、とりあえず観に行こうと思います。あ、「行くんだよーん」と言うべきか。



この特集の最後に上映されるのは、篠田正浩監督の『美しさと哀しみと』(1965年)。
またまた出ましたこのタイトル。この映画と、来月シネマヴェーラでやる吉田喜重監督の『日本脱出』(1964年)。この二作品のオープニングタイトルがそっくりなんですが、これって有名な話だったりするのでしょうか。当方、全く知らなかったので『美しさ〜』のあとにレンタルで『日本〜』を観て凄くびっくりしたんですよ。『美しさ〜』は、OPに池田満寿夫の絵と、極小文字サイズのクレジットが映り、そして武満徹の独特な音楽が流れます。『日本〜』OPでは、この池田満寿夫の絵の代わりに、岡本太郎のライブペインティングの映像。それ以外の要素(クレジット文字、武満徹の音楽)は、『美しさ〜』と酷似しています。『美しさ〜』ではタイトルデザインのクレジットは金森馨となっていますが、『日本〜』は確認せずにDVDを返しちゃったから、もしかしたらこれも金森馨の手によるものだったのかもしれません。これを確認する為にも、シネマヴェーラ行こうかしら。でも吉田特集は入替制らしいしなあ。ブツブツ。




さらに『美しさと哀しみと』のネタが出たついでに。
3月にこのブログで、当の池田満寿夫の水彩画≪美しさと哀しみと≫が展覧会で公開されるから見に行かなきゃ!なんて書いてましたが、その後に東京オペラシティまで足を運び、この目でしっかと見てきておりました。この作品は、現存しているのが全体の一部のみということだそうで、現物は映画に出てくるフルサイズの作品よりは迫力は小さそうでした。しかし、飾られていた場所が展示順路の袋小路にあたる部分だったので、何とも言えぬ負なオーラがそこに渦巻いていました。ギャラリーショップではポストカードが売られていたので記念に購入。でも、もしこんな絵が送られてきたら、怖くてしょうがないわ・・・。
帰宅後には、しつこくもDVDでポストカードの絵と劇中の絵を見比べてみました。映画では、八千草薫演じる画家が、絵の中央に描かれた胎児(?)に赤い絵の具で流血を描き込むシーンがあるのですが、なんとそこでの刷毛からの絵の具の流れ方がポストカードのものと全く一緒だったのです。ということは、この絵は結果的に池田満寿夫と八千草薫の合作なんじゃないのー!?と些細なことに一人で盛り上がったのでした。

塗ったくる八千草さん ポストカード

調べてみたら、池田満寿夫展はオペラシティの後、千葉→いわきと巡回中のようです。その後も、広島・山梨と回るようなので興味のある方はご覧になってみてはいかがでしょうか。映画の方は、正直そこまで冴えた出来とは言い切れないんで皆さん是非観てねとは言わないけど、個人的には心の片隅に置いておきたい、というか気付いたら置き残されていた、そんな映画です。そうそう、この映画は開通したばかりの東海道新幹線が綺麗に映ってるのが良いんだよねえ(そこか)。

てか、いま東海道新幹線が開通した日を調べようとGoogleの検索画面を出したら、Googleロゴが川端康成(=『美しさ〜』原作者)の誕生日バージョンになってた・・・!すわ、シンクロニシティ!

posted by かまた at 03:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | 更新情報をチェックする